2020年3月現在、コロナショックと言われる世界的な株の暴落相場になっています。
主な理由は3つあります。
- WHOによるパンデミック宣言
- 欧米での感染拡大
- 原油価格の暴落
と考える方も多いのでは?実際妻・同僚に同じようなことを聞かれました。
この記事では、
- なぜ原油価格の暴落が株価暴落にを及ぼすのか?
- なんで原油価格が暴落したのか?
をやさしく解説します。
これを見れば、あなたのお金の知識もグッと上がって、資産を増やす手助けになりますよ♪
そもそも原油価格ってなに?原油の基礎知識
原油の価格を決めるWTI
そもそも原油価格って何でしょうか?
世間をにぎわせている原油価格というのは、「WTI原油先物」の価格です。
ウェスト・テキサス・インターミディエイト(英語: West Texas Intermediate, WTI)とは、アメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称。その価格は世界の原油価格の中で最も有力な指標である。(中略)日本の主な輸入原油(中東産)はアラブ首長国連邦 ドバイ産の原油(こちらは重質油)価格に左右されるが、このドバイ産原油価格自体もWTI価格に大きく左右される。(Wikipedia)
Wiki先生も言うように、世界の原油価格がWTIの価格に左右されます。
乱暴に言うなら、「WTI=世界共通の原油の値段」と言っても過言ではありません。
そのWTIが2020年3月現在、大暴落しているのです。
(出典:chartpark)
年初に65ドルをつけていた価格が、1/3以下の20ドルにまで下がっているのです。
世界の原油算出ランキング
ここで、原油はどこで算出されるのか国別ランキングを見てみましょう。
原油暴落のキーとなるところですので、しっかり覚えてくださいね。
(出典:外務省HP)
2019年の統計だと、UAE・イラン・サウジをよそにアメリカが第一位なのです。
なぜアメリカが原油算出1位なのか
20代中盤以上の人には、「アメリカ=産油国」のイメージがあまりないかと思います。
それもそのはず。アメリカが産油国トップになったのは2019年からなのです(45年ぶり)。
ではなぜアメリカが首位に立ったのでしょう?答えは
「シェールオイル」が取れるようになったから
です。シェールオイルとは、油分を含んだ土から搾り取った原油のことです。
かつては高コストで採算が取れませんでしたが、2010年代頃からの技術革新で採算がとれるようになり、特にアメリカやカナダで原油の生産が増えたのです。
だだっぴろい土壌から原油が採れるとあって、現在アメリカでは大小さまざまな会社が我先にとシェールオイルを採掘しています。
が、採算は取れるといっても設備費は大きくかかります。中小企業にとってその負担は重く、多くの企業は借金(社債発行)して掘っているのが現状です。
ここまでが前置きです。
なぜ原油価格が暴落したの?サウジとロシアのガチ殴り
なぜたった3ヶ月の間に原油価格が1/3以下になったのでしょう?
主な理由は以下の2つです。
- コロナによる中国の需要減
- OPECの協調減産決裂による供給過多
①はなんとなくわかると思います。
世界第2位の石油消費国(外務省HP)である中国で使用量が減ることで世界全体として需要が下がり、価格が下がる。
と言う流れです。
問題は②ですね。こちらを解説していきます。
OPECの協調減産決裂による供給過多
と言う方のために、一つ一つ解説します。
OPECとは、ざっくり言うと原油算出国の利益を守るための仲良しクラブです。
協調減産とは、OPEC内で足並みそろえて算出を意図的に抑えることです。要は
ということです。
OPECに加盟している国は、以下のとおりでサウジアラビアがリーダー的存在です。
ちなみに算出量1位2位のアメリカ/ロシアは加盟していません。
ですのでOPECは「OPECプラス」という会議を開き、ロシアとも話をつけてみんなで減産しようとしたのです(2020年3月初頭)。
が、
というように、OPECの協調減産の受け入れを拒否ったのです。
という事で、減産どころか大幅な増産してしまう事となりました。
需要が変わらない(むしろコロナで減っている)のに、供給は増産で増える
その結果、あの原油価格の大暴落につながったのです。
原油価格の取引の各国の思惑
協調減産拒否の裏側には、各国(サウジ、ロシア、アメリカ)にこのような思惑があります。
まず、各国の原油の損益分岐点(利益が出る原油価格)を見てみます。
- サウジアラビア:80ドル前提で国家予算組んでるよ~
- ロシア :40ドル以下やと厳しいなぁ
- アメリカ :50ドルが平均やで
ロシアがやや価格面では有利ですね。
加えて
原油輸送のパイプラインの凍結が嫌やな。
米国のシェールオイル企業もここでつぶしておきたいし。。
ということもあり、協調減産になびかなかったのだと予想されます。
しかしロシアの想定以上に原油価格が下落してしまい、各国チキンレースの様相となっています。
原油価格が株価に及ぼす影響
原油価格が暴落した背景は開設しました。ここでは、その暴落した原油価格が株価に与える影響について解説します。
株価に及ぼす影響としては、大きく以下の3点があります。
- 中東のオイルファンドの資金引き上げによる株価暴落
- 米国シェール企業の破綻懸念による株価暴落
- シェール企業の社債を買った金融株の株価暴落
それぞれ見ていきます。
中東のオイルファンドの資金引き上げ
サウジをはじめとする中東諸国は、原油取引で儲けたお金を投資に回して資産を拡大しています。
この資産運用会社は通称「オイルファンド」と言われています。
このオイルファンドの原資は、原油での儲けです。
原油価格が下がり、儲けが少なくなるとオイルファンドの経営は苦しくなります。
という事で、世界各国に存在するオイルファンドの資産が売られたのです。
その結果、各国の株価も下がる(要因の一つ)になったのです。
米国シェール企業の破綻懸念
アメリカのシェール企業は、中小規模の企業がほとんどです。
これらの企業の多くはここに書いたように資金が潤沢ではないため、設備費等を「社債」という借金で賄っています。
原油価格が安定している間は借金を返せるめどがあるため、多くの投資家が社債を買ってくれます。
しかし原油価格が暴落する局面だと
ということで、社債を誰も買わなくなってしまいます。
結果資金を調達できないシェール企業の経営が苦しくなり、これらの企業やその関連株の株価が急落します。
実際2020/4/2には、最初の破綻企業が出てきました。(参考記事)
シェール企業の低格付債破綻
シェール企業の社債は、基本的に低格付けのため高利回り(ハイイールド債)です。
要は信用がまだあまりないため、利率が高くないと誰も買ってくれないのです。
しかし利回りが高く、(原油価格が高い間は)破綻懸念が少ないため、欧米の多くのファンドがこれらの企業の社債を組み込んだ商品を開発していました。
しかし原油価格が暴落し破綻が現実味を帯びてくると、
ということから、欧米の関連金融株も暴落していくという結果になります。
1,2,3いずれの場合でも、原油価格の下落が株価暴落につながっていきます。
実はこの流れは、
リーマンショックの原因となった「サブプライムローン問題」と同じ
なのです。
加えて株価暴落するから、需要が落ち込みさらに原油価格が下落するという負のスパイラルに陥っているというのが現在の状況です。
まとめ
原油価格がなぜ暴落したか?原油価格暴落が株価に与える影響は?について解説しました。
結論としては、
- ロシアがサウジの意見を突っぱねて供給増
- コロナの影響で需要減
- オイルマネー引き上げで株価下落
- シェールオイル企業関連株の株価下落
- シェールオイルに投資した金融株下落
ざっくり、原油が落ちると全世界の株価も落ちるとみていいでしょう。
このようなお金の流れがわかると、ニュースを見て何がどうつながるのか見えてくるので、普段の仕事や投資にも役立ちますよ♪
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