- コクヨはぺんてるの海外販売網を手に入れたい
- ぺんてるは拒否
- 非上場企業の買収のやり方
コクヨがぺんてるの敵対的買収に着手しました。文具業界で仁義なき戦いが勃発しそうな雰囲気です。
最新記事(2022年9月30日更新)コクヨVSぺんてる エピローグ編はこちら
って人向けに、簡単に5分でわかる解説をいたします。
コクヨとぺんてるで起こっていること
ニュースを賑わせているコクヨとぺんてる、一体両社で何が起こっているのでしょう?
簡単に言うと、コクヨがぺんてるを買収したいけど、ぺんてる側が断固拒否ってる状況なのです。
すこし具体的にいうと、コクヨは現在ぺんてるの株を37.8%持っており、これを50%オーバーに持っていって、買収を成立させようとしています。が、ぺんてるもこれに必死に抵抗している状況です。
では何で拒否っているのか、そして何でコクヨはぺんてるを手に入れたいのかを易しく解説していきましょう。
コクヨとぺんてる それぞれの企業情報
KOKUYO(コクヨ)とぺんてる、おそらく日本にいらっしゃる方なら聞いたことがないという人がいないくらい、生活に浸透した文具メーカーの2社です。
ざっくりいうと、KOKUYOは総合文具メーカー(業界第1位)で、ぺんてるはサインペンに特化した文具メーカーという感じでしょうか。
それぞれ昨年度(2018年度)の売り上げは、3151億円と403億円となっています。
約8倍の売上差があります。売り上げだけを見ると、「大が小を食う合併」という様相で、金にモノを言わせれば強引にでも買収出来そうな感じですが、これが一筋縄ではいかないのです。
なぜ一筋縄ではいかないのでしょうか?
ぺんてるは非上場企業
通常会社の買収は、多くの場合対象の会社の株式の過半数を手に入れれば買収成功です。お互いが協力し合う「友好的買収」でも、相手が拒否るのを無理やり買収する「敵対的買収」でも単純に言えば同じです。買収する方とされる方で経営規模に差がある場合は、どちらのケースでも金の力で買収できて(されて)しまうことが多いです。
非上場企業とは、文字通り会社を上場していない会社のことです。
普段株価情報などに出てくる会社は、証券取引所で売買されて常に株価が動いています。そしてその取引は誰でも行うことができるのです。「日産の株が暴落しています」「SONYの株が年初来高値を更新」なんて報道は、上場している企業だからこそ株価が動いて、みんなが売買できるのでニュースになるのです。
このように個人で取引できますが、会社も同じように株を売買出来るのです。買収を仕掛ける側の企業は、買いたい会社の株を買いまくります。
このようにして株を集めて、過半数取れれば買収成功になります。
コクヨのぺんてる株取得の経緯
ではどのようにコクヨは牙城を崩してぺんてるの株を買い集めたのでしょう?
順を追って説明します。
2014年の取締役会
2019年5月
とマリーアントワネットばりの発想で、投資会社はコクヨに買収されてお金を得ます。
そして、コクヨのとつぜんの記者発表が同年9月にあったのです。
2019年9月
ぺんてるにとっては寝耳に水の発表です。
しかしあくまでこの時は協業の提案だったのです。
このまま騒動は沈静化したかに見えたのですが。
2019年11月15日
という発表をして、一気に株を買い集める強行手段にでたのです。
当然ぺんてるはブチギレで
と息巻いており、工作は難航しそうな様相ですが、じつはコクヨが強硬手段に出たのにも理由があるのです。
実はコクヨが提携を発表した頃、ぺんてるは業界第2位の「プラス株式会社」と秘密裏に繋がっており、事業協力をしていたのです。ですので、コクヨと易々と提携などできるはずもなく、株主だけど全然協力体制になってない状況が続いていたのです。
※プラス株式会社は、文具通販サイト「アスクル」の母体企業です。主にBtoBメインなので、なじみが薄いですが、2018年売上1772億円の巨大企業です。
当然業界1位のコクヨとプラスは競合しているライバル同士。ぺんてるがプラス社と繋がっていると知ったコクヨは、
ということから、11/15日の発表に至ったわけです。
コクヨの狙い
コクヨがぺんてるを買収する狙いはなんなのでしょうか?
理由は2つあると考えられます。
- 海外販路の確保
- 業界2位 プラス株式会社とぺんてるとの合併阻止
コクヨの買収理由1.海外販路の確保
一つはぺんてるの持つ海外販路の取得です。この表を見る限り、ぺんてるは売り上げの約2/3を海外で得ています。一説には120ヶ国以上での販売を行っているそうです。
対してコクヨの海外売上比率はわずか7%です。国内業界最大手ですが、海外への進出では後塵を拝しています。
国内での文具の売り上げは、少子化やオフィスの電子化の影響もあり年々減少しています。つまり今後は海外への販路拡大が、文具メーカーの生命線になってくるのです。
そこで、海外の販売網をもちノウハウも蓄積しているぺんてるが喉から手が出るほど欲しかったのです。
コクヨの買収理由2.プラスとの提携阻止
ぺんてるは、業界2位の「プラス株式会社」と仲良くしたがっていました。しかしコクヨにとって、プラスはバチバチの競合他社。ぺんてると提携されてシナジー効果を出されたら、業界首位の座が危うくなります。
そのため、ぺんてるを自分のサイドへ引き込むため買収を仕掛けたのです。
あわよくば、プラス社の内部情報を入手できれば とも考えたと思われます。
まとめ
国内の大手文具メーカーの「コクヨ」と「ぺんてる」。両社で起こっている因縁について解説してきました。
買収したいコクヨと、されたくないぺんてる。そしてその裏にチラチラ出てくるプラス。それぞれ両社に因縁模様が見て取れます。
一つのニュースについてですが、それぞれの正義があったりして面白いですね。(当事者は貯まったものではありませんが)
今後はヤシロの私見ですが、この買収は実施されるとみています。そしてこれが成功すれば次々に文具メーカーが統廃合される戦国時代に突入するのではと思います。
関連銘柄をお持ちの方は、注意深く見守っていてください。
続報をアップしました。さらにドロドロで面白いことになってます(笑)
また決着編もUPしました!背景をみてから見るとすごく面白いですよ♪