この記事では、営業利益・経常利益・純利益など、会社の業績にかかわる様々な利益の違いについて、解説しています。
- 投資を始めたいけど、わからん単語がたくさんだ。
- 特に営業利益?経常利益?何が違うの?
と言うところでつまずく方も多いのではないでしょうか?
確かに普段生活していくうえで、中々使わないこれらの単語ですが、身近な実例を交えながら説明しているので、投資初心者などの人にも分かりやすい内容となっています。
投資をするにあたり、銘柄選びは超重要です。
その銘柄を判断するのに、「利益」を理解しておくと、とても役に立ちます。
この記事を読めば、それぞれの利益の違いがはっきりわかるはずです!
利益と言っても色々ある|その種類について
一口に「利益」といっても、営業利益・経常利益など様々な利益の種類があります。
ニュースや日経新聞で出てくるこれらの「利益」。
大体使われるのは、以下の5種類です。
- 売上総利益(粗利益)
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前利益
- 当期純利益
これらについて一つ一つ、実例に沿って見ていきましょう。
イメージしやすいように、モデルとして商店街の八百屋さんを例にとってみます。
売上総利益(粗利益)|ざっくりこれだけ儲かった
一つ目は、一般に「粗利」と呼ばれる、「売上総利益」です。
単純に、「売り上げ」から「売上原価」を引いたものになります。
八百屋さんで例えると、1つ60円で仕入れたキャベツを100円で売れば、売上総利益(粗利)は40円 という感じです。
年間単位で考えると、総売上が2000万円で、市場からの仕入れ値が800万円なら、売上総利益(粗利)は1200万円となります。
これは簡単に理解できると思います。
損益計算書と言われる決算書の赤枠部分になります。
右の棒グラフで考えると、イメージしやすいかと思います。
売上 - 売上原価 = 売上総利益(粗利)
営業利益|商売するにもお金がかかるの
二つ目は「営業利益」です。
モノを売るには、様々なお金がかかります。
先ほどの例で八百屋さんの粗利が1200万円と言いましたが、これが丸々懐に入るかと言うと、そうではありません。
お店の場所を借りていれば賃料がかかりますし、バイトを雇えば人件費がかかります。
お店の電気代や市場に行くまでのトラックのガソリン代もいりますし、チラシを出すための広告費なんかも必要ですよね。
これら、商売をするうえで必要な経費を「販売費及び一般管理費(販管費)」と言い、売上総利益から販管費を引いたものが、「営業利益」なのです。
八百屋さんの年間の販管費が全部ひっくるめて300万円だとすると、営業利益は900万円になります。
ちなみに販管費に含まれるものは、こんなものがあります。
- 人件費(給料やボーナス)
- オフィスや店舗の賃料
- 通信費
- 水道光熱費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 保険料
- 交通費
- 消耗品費 等
売上総利益 - 販管費 = 営業利益
経常利益|普通ならこれくらい利益があるよ
三つめは「経常利益」です。経常は「平常なら」という意味です。つまり、経常利益は特別なことが起きないときの利益と考えてよいでしょう。
営業利益は、本業のもうけから経費を引いたモノでしたが、企業は本業以外でも収入や支出があります。
本業以外の損益を営業外収益・営業外費用といい、営業利益から本業以外の損益を加えたのが経常利益です。
例えば八百屋さんが、裏の敷地に駐車場を経営しているとすると、そこで発生する儲けは「営業外収益」となります。
また、仕入れ用のトラックをローンで買っていたとすると、ローンの金利分が「営業外費用」となります。駐車場のメンテナンスなども「営業外費用」にあたります。
一般的な営業外収益・費用は以下のようなものがあります。
<営業外収益>
- 受取利息
- 受取配当金
- 有価証券売却益 等
<営業外費用>
- 支払利息
- 有価証券売却損
- 有価証券評価損 等
営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 = 経常利益
当期純利益|イレギュラーなことはここでカウント
普通だったらこれくらいの利益がある、というものが「経常利益」なら、「普通じゃないこと」が起こった際の利益もカウントし、最終的な利益を表すのが「当期純利益」になります。
(税引前当期純利益は、法人税のカウントの有無なので説明は割愛します)
「普通じゃないこと」の例としては、不動産や設備の売却で得た利益だったり、災害や事故などの損失等があります。これらを「特別利益」「特別損失」と言います。
八百屋さんでいえば、裏手の駐車場を売った利益や、仕入れ用トラックで事故った際の費用等をイメージすればいいでしょう。
<特別利益>
- 固定資産売却益
- 長期保有の有価証券売却益
- 関係会社・子会社株式売却益
- 引当金の戻入金
- 前期の損益修正 等
<特別損失>
- 固定資産売却損
- 長期保有の有価証券売却損
- 災害による建物の損失
- 前期の損益修正 等
経常利益 + 特別利益 ー 特別損失 - 税金 = 当期純利益
まとめ
一口に「利益」と言っても、様々な種類がありました。まとめると
- 単純に売上から仕入れを引いたのが、売上総利益(粗利)。
- 本業に必要な経費を差し引いて得た利益が、営業利益。
- 本業以外での収益を加味して残ったのが、経常利益。
- 一時的な損失や利益を加味して、税金も考慮した最終的な利益が当期純利益。
となります。
最終的な利益だからといって当期純利益だけ見ても、「企業の儲ける力」というのは分かりません。
突発で起きた儲けや損失を含んでしまってるためです。
投資の際には、これらの「利益」を総合的に見ていかないといけません。
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