- ティファニーがルイヴィトンに買収される
- ティファニーブランドがなくなるわけではない
アメリカの高級宝飾メーカー ティファニー(TIF)が、フランス高級ブランドグループのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMUY)に買収されることが決定しました。
買収額はおよそ162億ドル(約1兆7500億円)、一株当たり135$での買収です。
と心配する方に、今回の買収騒動についてヴィトン側の狙いと今後の展開をやさしく解説していきます。
これを見れば、宝飾業界で何が起こっているのかが一目瞭然となりますよ♪
LVMH モエヘネシー・ルイヴィトンって何なの?
このニュースを見た時、誰もが思ったはずです。
実はこの企業は、ルイヴィトンとモエヘネシーとが1987年に合併してできた、現在ではファッション業界で世界最大の企業体なのです。(Wiki参照)
モエヘネシーはお酒好きならおなじみ、高級シャンパンの「モエ・エ・シャンドン」やコニャックの「ヘネシー」を製造しているメーカーです。いずれも世界的に有名なお酒ですね。
このルイヴィトンのLVと、モエヘネシーのMHがくっついただけのことなんですw
さて、このLVMHですが、世界最大のファッション企業体という事もあり、売り上げが968.4億ユーロ(約5.8兆円)というとんでもない規模です。
傘下にある企業は早々たる顔ぶれがそろっています。
- LOEWE (ロエベ)
- CELINE (セリーヌ)
- Berluti (ベルルッティ)
- Dior / Christian Dior (ディオール/クリスチャン・ディオール)
- FENDI (フェンディ)
- TAG HEUER (タグ・ホイヤー)
- HUBLOT(ウブロ)
- BVLGARI(ブルガリ)
- Dom Pérignon (ドン・ペリニヨン)
- Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン) 等々
いや、ぜんぜん半分もいってませんがw。ファッションに興味のない方も聞いたことあるってブランドがかなりあるのではないでしょうか?
とにかく服飾や皮革、時計、宝飾、アルコールに至るまで多分野にわたり、高級ブランドを保有しているのが、このLVMHなのです。
今後ティファニーはなくなっちゃうの?
と焦るティファニーファンの方も多数いらっしゃると思いますが、結論から言うと「なくなりません。」
上記のように、LVMHは巨大な企業集合体です。傘下の「ディオール」や「タグ・ホイヤー」がなくなりましたか?
そう、それらのブランドは名前を変えることなく存続し、そのブランド力も落ちることなく今に続いているのです。
LVMHのティファニー買収の狙いは??
とんでもなく大きいLVMHですが、(やや格下に思える)ティファニーを買収する狙いはどこにあるのでしょうか?
元々一株120$での買収予定を135$にまで引き上げてでも欲しかったのでしょうか?
理由は3つあると考えます。
- 宝飾市場はまだまだ拡大の余地あり
- LVMHにとって宝飾業界は弱点
- 北米での売り上げ拡大
ひとつずつ見ていきましょう
宝飾業界の拡大の余地
宝飾業界は、実は世界規模でどんどん拡大しています。
日本はバブル期の1991年からどんどん縮小傾向にありますが(参考:矢野経済研究所)、世界では中国やインドが引っ張る形で、年率約8%以上での伸びを見せており、2025年には4805億ドル(約52兆円)に達する見通しです(グランドビューリサーチ)。
宝飾業界で確固たる地位をもつ「ティファニー」なら、多少買収価格がかかろうと十分ペイできると、LVMHは踏んだと思われます。なんせ1兆を超える買収ですので。
LVMHの弱点/宝飾業界
傘下の顔ぶれをよく見てみると、実は宝飾業界に特化したブランドというのをLVMHは持ち合わせていません。
ライバルであるファッション企業グループである、リシュモングループやスウォッチグループが、「カルティエ」や「ハリー・ウィンストン」を持っているのを見ると、宝飾ブランドの面では、格落ちが否めません。
事実LVMHにおける宝飾事業規模は革製品事業の1/4程度で全体の1割ほどあり、ライバルに追いつくためにも「ティファニー」ブランドは喉から手が出るほど欲しかったのでしょう。
その他ファッション企業グループの詳細はこちらによくまとまっています。
北米での売り上げ拡大
欧州では非常に強いLVMHも、実は北米での売上高は芳しくありません。売上の2割程度のものです。
ティファニーは1837年にニューヨークで創業した、由緒正しき米国企業です。当然アメリカでの売上比率も高く、中国・インドなどの大消費国に押されつつも44%をキープしています(@2018年)。
ティファニーの買収を足掛かりに、アメリカ事業の拡大をもくろんでいることでしょう。
ティファニーは何で買収に応じたか?
ティファニーは、自らのブランド価値が下がるかもしれない「買収劇」に、なぜ快く応じたのでしょうか?
これにはLVMHの、いやそのCEOであるベルナール・アルノー氏の経営手腕を見込んで応じたと思われます。
近年ティファニーの売り上げは横ばいが続いていました。
これに対し、LVMHは2009年以降売上は右肩上がり、営業利益率も20%程度を保持しており、非常にこの先も見通しが明るい経営となっているため、ティファニー側も安心して経営を任せられると判断したのでしょう。
実際2011年に「ブルガリ」を買収したLVMHですが、当時8%程度だったブルガリの利益率をわずか7年で25%までに引き上げたという実績もあります。
そんなとんでもない敏腕CEOのベルナール氏、恐ろしい人ですね
まとめ
ルイヴィトンによる、ティファニーの買収が発表されました。
これにより、ティファニーというブランドがなくなるという事はありません。
むしろヴィトンのグループに入ることで、敏腕CEOの効果でさらなる飛躍する未来が見えます。
以前取り上げたコクヨとぺんてるの買収劇に比べると、非常に友好的で拍子抜けの様相すらあります。
きになる企業のこのような背景をしっかり知っておけば、株式投資にとても役に立つこと間違いなしです。
これからも有益な情報をどんどん発信していきますので、お楽しみに!!
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間違っても◯村証券とか大◯証券で開かないようにw手数料がえげつないですのでw
また、今日取り上げたのは海外の企業ですが、実は日本で購入することも簡単にできてしまいます!
実は金銭面で考えると、日本株を買うよりハードルが低いかもしれません♪
以下の記事を参考に一度買ってみてはいかがでしょうか?