自動車に詳しい人なら、関心が深い
そうでない人も聞いたことがあるかもしれない、
「プジョー」グループと「フィアット」グループの合併話について、車業界の中の人であるヤシロが、簡単にわかりやすく解説していきます。
PSAとFCAの合併話の概要
2019年の年末に、このようなニュースが飛び込んできました。
FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とPSAグループは12月18日、対等合併することで正式に合意した、と発表した。両社のトップが、覚書を交わしている。
両社の対等合併によって、世界新車販売台数は、年間およそ870万台になる。フォルクスワーゲングループ、ルノー日産三菱アライアンス、トヨタグループに次いで、世界第4位の自動車グループが誕生する。
(出典:Response)
要はでっかい自動車グループ同士が合併して、よりでっかいグループになったってことです。

って人のために、軽く両社の説明から入りましょう。
PSAグループって? 代表メーカーは?
グループPSA(Groupe PSA、旧社名PSA・プジョーシトロエン、PSA Peugeot Citroën)は、プジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクスホールブランドで自動車の製造・販売を行っているフランスの多国籍企業。社名のPSAは「プジョー株式会社(Peugeot Société Anonyme)」の頭文字である。 (Wikipedia)
PSAで検索すると、Wikiに上のような解説がでてきます。
要はいろんな自動車会社のグループってことです。名前の挙がったメーカー同士の関係はこんな感じです。

このグループの強み/弱みは以下のとおりです。
- 欧州での抜群の存在感
- 世界トップクラスの収益性
- 環境対策技術の高さ
- 欧州以外での存在感のなさ
FCAグループって? 代表メーカーは?
2009年1月、フィアットは経営不振に陥っていたクライスラーへの資本参加を発表[6]、2014年1月にフィアットがクライスラーの株式を買収し完全子会社化することを発表[7]、同年10月12日に持株会社フィアット・クライスラー・オートモービルズが設立された。 (Wikipedia)
同様にFCAと検索すると、Wiki上にこのように書いてあります。その名のとおり、「フィアット」と「クライスラー」の合弁会社なのですが、傘下には色々と聞いたことのある会社があります。以下の表を見てください。

このように、「一度は聞いたことがあるかも」というややクセの強い(個人の感想です)メーカー同士のグループです。
ここの強み/弱みは
- 北米・中南米での抜群の存在感
- SUV・ピックアップトラックの強力なラインナップ
- 高級ブランドの経験
- 欧州における収益の低さ
PSAとFCAの合併効果
PSAとFCAの関係は
- PSAは欧州は強いが、それ以外が弱い
- FCAは北米・中南米に強いが、欧州で弱い
というように、見事に強みと弱みが真逆になっています。両社が手を組めば、バランスのいい世界中での販売網が手に入ります。
またPSAは小型~中型車、FCAはSUV等大型車に強みを持っているということもあり、製品ラインナップにおいても、すべてのセグメント(車種)を網羅できる体制になります。
規模も大体同じくらいの両社ですので、今回の合併は50:50の対等な合併となります。
- 出資比率も同じ
- 本社を両社本拠地のどちらでもないオランダ
- 会長をFCAから、社長はPSAから
というように、遺恨を残さぬよう両社に配慮した合併となります。

両社がそれぞれの工場などの資産を生かすことで、約37億ユーロ(4500億円)程度の経費削減ができるとの見通しになっています。
PSAとFCAの今後の見通しと影響(ヤシロ私見)
ここからは、車関係の会社にいるヤシロの私見から、今後の展望と予測される動きについて解説していきます。
実はFCAはPSAに合併を持ちかける4ヶ月ほど前に、ルノーに合併を打診していました。
ルノーといえば、日産と三菱と連合を組んでいるメーカーで、グループ全体で世界2位の巨大グループです。
しかしこの話は、ルノーの大株主であるフランス政府が口をはさんで白紙となりました(参考記事)。
ルノーもまた欧州に強い存在感のあるメーカーですので、FCAの狙いにドンピシャだったのですが、振られてしまいます。
がすぐに気を取り直してPSAというパートナーを選んで、幸せな協力体制を確立します。
一方のルノーはというと、パートナーの日産元会長カルロス・ゴーン氏(元ルノーの人)の国外逃亡などでゴダゴダしており、一説には提携解消との声もささやかれています。
上の記事では「提携解消はデマ」という体裁ですが、実際は提携解消も近いんではないか?と個人的にはにらんでいます。
となると、ルノーは単体となってしまい急激に力を落としてしまいます。
どんどん巨大グループができていく自動車業界において、単体で生き残るのは至難の業です。必ずどこかのグループに行きつくことが予想されます。
企業規模・強み・弱みを勘案すると、FCA/PSAグループとタッグを組む可能性が高いです。一度振った立場ですが、下手に出て協力を仰ぐのではないでしょうか。
もしそれができれば、ルノーの世界販売台数が388万台ですので、圧倒的な1位となる巨大グループになります。
残された日産は。。。少し危うい運命をたどるかもしれませんね。

俗に売り上げ台数首位となったメーカーには、
どこかしらから「規制」の嫌がらせが起こる
なんていう都市伝説もあります。2位以下を200万台ほど引き離す1位となれば、各国の嫌がらせ(w)は激しいものとなるでしょう。そらが気がかりですねw